最先端・次世代研究開発支援プログラム

プログラムの概要

 最先端・次世代研究開発支援プログラムは、将来、世界をリードすることが期待される潜在的可能性を持った研究者に対する内閣府の研究支援制度です。

 ライフイノベーションとグリーンイノベーションについて、若手・女性研究者約300人に、4年間で最大2億円の研究支援を行うという内容で公募が行われましたが、応募総数5618件のうち329件が採択されました。

 本学では先端医療研究センター・講師である工藤與亮の研究課題「水分子プローブと位相変動を利用した次世代非侵襲的脳血流代謝MRI検査法の開発」が採択され、研究がスタートしています。

研究課題

「水分子プローブと位相変動を利用した次世代非侵襲的脳血流代謝MRI検査法の開発」

研究概要

 脳血流代謝検査にはポジトロン断層法(PET)、単一光子断層法(SPECT)、 X線CT、磁気共鳴画像法(MRI)といった様々な手法があるが、非侵襲的で定量性に優れ、多くの施設で簡便に利用可能な理想的な手法は存在しない。本研究の目的は、研究者がこれまで開発してきたMRI脳血流解析プログラムや水分子プローブ・位相解析法を発展させ、O-17標識水分子プローブと局所位相変動処理技術を利用した非侵襲・高精度・簡便な次世代の脳血流代謝MRI検査法を開発することである。現時点では脳血流と酸素代謝の両者を計測可能な手法はPETのみであるが、放射線被曝、長い検査時間、低い空間解像度、煩雑な管理、高額な装置といった欠点があり、ごく一部の施設でしか用いられていない。被曝が無く広く普及しているMRIを用い、非侵襲的で高い定量性と汎用性を持つ高解像度脳血流代謝イメージングを実現することで、従来困難であった種々の脳機能解析や脳神経疾患・精神疾患の病態解明が可能となる
 従来のMRIでは脳灌流に関する大まかな情報が得られるのみで、精度や安定性にも問題があった。そこで、研究者独自の水分子プローブ解析法位相変動解析法を脳血流代謝計測に応用する。自然界に存在する安定同位体であるO-17を水分子プローブとすることで、PETと同等の定量性を持ち、被曝や副作用の無い、安全で繰り返し検査可能な脳血流計測が実現できる。また、局所の位相変動を定量することで、組織内脱酸素化ヘモグロビン濃度を画像化して全脳の酸素代謝情報を得ることができる。解像度も高いため、今まで未知であった大脳皮質の小領域や脳幹の小さな神経核の機能情報を得ることもできる。本手法は、社会問題となっている脳卒中および認知症、うつ病、統合失調症などの神経・精神疾患の病態解明や早期発見の決定打となることが期待できる
 本研究は本邦2台目となる超高磁場7 Tesla MRI装置を用いて開発を行うが、一般の臨床用3 Tesla装置でも実現できるよう研究を進めることで、広く一般臨床検査として使用可能なイノベーション技術となることが予想される。また、高濃度O-17水分子プローブは現在高価であるが、脳血流検査としての臨床的意義を実証することで、国内での低コスト精製技術の開発や産業振興に繋げることができ、日本から世界に発信する新しい分子プローブとなる可能性がある。

研究者氏名(所属)

工藤 與亮(超高磁場MRI診断・病態研究部門)

補助事業期間

平成23年2月10日~平成26年3月31日

補助金額

180,700千円
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