超高磁場MRI診断・病態研究部門

研究概要

 当部門では、超高磁場MRI(3 Tesla・7 Tesla)を用いた次世代イメージング手法・解析手法の確立と脳神経・精神疾患の病態解明に取り組んでおります。これまでの研究成果は以下の通りです。

 

  1. 高精細MRIを用いた脳神経・精神疾患の機能形態解析

    (1) 7テスラMRIによる超高解像度のMR血管撮像法や画像信号不均一補正法を開発し、生体における100マイクロメートル以下の微細血管の描出に成功しまし。
    (2) 7テスラMRIによる高解像度の脳機能MRI撮像法を独自に開発し、脳賦活部位を的確に特定することが可能になりました。
    (3) 独自に開発した容積拡散MRIを用い、辺縁系の微細神経線維の追跡や拡散異方性の計測精度が向上することを明らかにしました。また、三叉神経痛患者における三叉神経の機能異常の検出に成功しました。
    (4) 多施設研究によって、特発性正常圧水頭症のMRI診断能を明らかにすると共に、voxel-based morphometry法を用いた独自の自動検出法を確立しました。
    (5) 独自に開発した神経メラニン画像を用いて、うつ病、統合失調症、パーキンソン病における黒質緻密部や青斑核の信号が変化することを明らかにしました。  
    (6) 位相画像を用いた組織鉄の半定量値を用いて神経メラニン画像の信号強度を補正することで、パーキンソン病における黒質緻密部の信号変化をより明瞭化することに成功しました。

  2. 頸動脈疾患における非侵襲的高精度イメージング手法の開発と臨床応用

    (1) Hybrid Radial Scanを用いた頸動脈プラークイメージングの新手法を開発し、頸動脈内膜剥離術患者の手術標本との対比を行い、プラークイメージングの信号強度を用いてプラーク構成成分を高精度に予測できることを示しました。
    (2) 頸動脈プラークイメージングの信号強度を用いて、頸動脈プラーク構成成分のカラーマップを自動作成するアルゴリズムを開発しました。  
    (3) MR血管撮影において、左右内頚動脈をそれぞれ個別に描出可能な非侵襲的手法を開発し、それを臨床に応用しました。

  3. CT/MR灌流画像を用いた高精度脳循環代謝計測法の確立と臨床応用

    (1) 独自の灌流画像解析ソフトウエアPMA (Perfusion Mismatch Analyzer)を開発し、各種脳循環パラメータの特性の解明や精度検証を行うと共に、各社ソフトウエアの解析結果の妥当性の相互検証を行いました。
    (2) CT灌流画像の解析マップが市販の解析ソフトウェアによって異なることを、急性期脳梗塞患者の臨床データを用いて明らかにしました。
    (3) 国際研究組織STIR (Stroke Imaging Repository) Consortiumに参画し、MR/CT灌流画像の国際的標準化活動を推進するとともに、デンマークArhus大学と共同で精度検証用デジタルファントムを開発し、各社の解析ソフトウェアの精度検証を行いました。
    (4) 独自に開発したデジタルファントム画像を用いて、CT灌流画像におけるTmaxマップが解析アルゴリズムによって変化することを明らかにしました。
    (5) 位相情報を用いた脳血流計測法を独自に考案し、北海道大学・米国Wayne州立大学と共同で、血行力学的脳虚血や脊髄動静脈瘻における血流・酸素代謝変化の検出に成功した
    (6) コモンマーモセットを用いた急性期脳梗塞モデルを構築し、MR灌流画像による各種マップを用いた最終梗塞範囲の高精度な予測を可能にしました。
    (7) デジタルファントム画像を用いて、MR/CT灌流画像における超低血流の検出限界について明らかにしました。
    (8) 悪性脳腫瘍におけるMR灌流画像の脳血液量(CBV)の評価を行い、解析ソフトウェア間でCBV値が異なることを明らかにしました。

  4. 多施設研究による脳卒中画像診断法の標準化と精度検証

    (1) 厚生労働省研究班ASIST-Japan (Acute Stroke Imaging Standardization Group Japan) (主任研究者: 佐々木真理)として、拡散強調画像の定量値が装置や施設によって有意に変動していることを多施設研究によって明らかにしました。
    (2) 日本脳ドック学会・日本磁気共鳴医学会による研究班(主任研究者: 佐々木真理)として、無症候性脳梗塞と白質病変の鑑別法を提唱するとともに、判定に要する画像の最適な組み合わせを読影実験によって明らかにしました。

  5. 磁化率強調画像(SWI)を用いた静脈内酸素飽和度や酸素摂取率の定量解析

    (1) SWIによる位相画像を用いて脊髄静脈の酸素飽和度を非侵襲的に算出する手法を開発し、呼吸負荷やカフェイン摂取によって脊髄静脈の酸素飽和度が変化することを明らかにしました。
    (2) SWIによる位相画像から酸素摂取率(OEF)を算出するアルゴリズムを開発し、安静時と呼吸・薬剤負荷での有意なOEF変化を明らかにしました。
    (3) SWIによる強度画像が多発性硬化症の活性プラークの評価に有効であることを明らかにしました。
    (4) MR血管撮影とSWIが片頭痛時及び片頭痛後における動脈と静脈の血流動態変化の評価に有効であることを明らかにしました。

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