7T機能動態イメージングプロジェクト

研究概要

研究プロジェクト名

超高磁場7テスラMRIを機軸とした生体機能・動態イメージングの学際的研究拠点

研究目的・意義

 急激な高齢化や社会情勢の変化に伴い、脳卒中、認知症などの脳神経疾患、うつ病などの精神疾患が大きな社会問題となっており、その包括的な病態解明と、早期発見・予防・治療成績向上のためのバイオマーカーの確立が急務となっています。そこで本プロジェクトでは、3 Tesla MRIの先駆的研究施設であるメリットを活かし、世界に十数台しかない最新鋭超高磁場7テスラMRI装置を他に先駆けて導入しました。本装置による高精細生体機能・動態イメージングを機軸に、分子・細胞・組織レベルの各種生体イメージングを融合し、ヒト・動物を対象とする、1)脳血管・血管壁、2)脳循環代謝、3)高次脳・精神機能、4)神経損傷・機能回復に関する学際的な総合研究拠点を構築しました。本研究によって、基礎研究、臨床研究単独では困難であった脳神経・精神疾患の病態と治療に関する領域横断型研究を系統的に推進することができ、神経科学、細胞生物学、神経・精神医学に関する多くの先駆的知見を創出し、科学・医学の発展に貢献するものと期待されます。

研究により期待される効果

 本研究によって、超高磁場7 Tesla MRIによる種々の次世代技術(位相差脳血流イメージング、温度機能イメージング、神経線維機能イメージング、脳幹神経核機能イメージング)を世界に先駆けて確立できると共に、7 Tesla MRIを機軸とする統合的生体機能・動態イメージング戦略を提唱することができます。
動物モデルによる血管内皮障害機構の解明を通して血管エイジング因子を特定することが期待され、7 Tesla MRIによる血管・血管壁イメージングによって微小脳血管病変、粥腫病変、脳動脈瘤の病態把握と予後予測が、無侵襲脳循環代謝計測法によって血管・代謝予備能の厳密な評価が可能となります。霊長類神経鎖イメージングは、高次脳機能の機能解剖学的構築の解明に寄与し、複合的MRI脳機能イメージングは神経・精神疾患における大脳、深部灰白質、脳幹神経核の機能異常や連携障害の解析を可能とします。変性疾患では、不溶性物質沈着に起因するtype2細胞死の可視化と庇護技術の確立が期待され、7 Tesla MRIによる不溶性物質の直接可視化による発症前診断も期待できます。

研究テーマ

  1. 微小脳血管障害機構: 血管・血管壁への多角的動態画像アプローチによる微小脳血管障害の機構解明と脳卒中予防への展開研究
  2. 次世代脳循環代謝計測: 超高磁場MRIを用いた次世代非侵襲的脳循環代謝計測法の開発と脳疾患に対する高精度バイオマーカーの確立
  3. 高次脳機能・神経精神疾患: 高精細MRI機能イメージングと神経鎖イメージングを用いた高次脳機能の解明と神経精神疾患の病態解析
  4. 神経損傷・機能温存・機能回復: 超高磁場MRIと各種生体イメージングによる神経損傷のセロミクス解析と機能温存・機能回復に関する研究